【くらべて観よう】クールベの《波》とファン・デ・フェルデ(17世紀)とブーダン(19世紀)の海景画

🌊 比較鑑賞:クールベと海景画家たち 🌊


① 17世紀の海景画家・ファン・デ・フェルデの作品との比較

ロンドン展出品作品のファン・デ・フェルデの絵では、活動する人と船🚢が前景の静かな海に複数浮かんでいます。ふくやま美術館には、この絵と比較可能な「写実主義」(レアリスム)の画家、19世紀中頃のギュスターヴ・クールベの波🌊の絵(1869年、ふくやま美術館)があります。こちらの作品では船は遠景に小さく1隻だけ、しかし前景にうねる荒波の海が見えます。モチーフと動きの組合わせが好対照の、ファン・デ・フェルデとクールベの海景画です。


ファン・デ・フェルデ(子)《多くの小型船に囲まれて礼砲を放つオランダの帆船》
1661年、ロンドン・ナショナル・ギャラリー


クールベ《波》1869年、オルレアン美術館


② 19世紀の海景画家・ウジェーヌ・ブーダンの作品との比較

「クールベと海」展に出品されたオルレアン美術館蔵のクールベの海景には、船が前景の浜に描かれていますが、やはり人の気配はなく、人間の不在が荒海と白波の自然モチーフの存在感を増幅しています。クールベのこの表現は、同じ19世紀後半フランスの海景画でも、海辺の人出の多さと賑いに注目するブーダン の対極にあるといえます。

クールベ《波》1869年、ふくやま美術館

ウジェーヌ・ブーダン《トルーヴィルの浜》1867年、国立西洋美術館


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