18世紀イギリスの馬の画家・
ジョージ・スタッブスの集団肖像画
《ミルバンク家とメルバーン家の人々》
作品:上流階級の男女の結婚記念
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展(2020-21年、国立西洋美術館、国立国際美術館)の出品作・《ミルバンク家とメルバーン家の人々》。この作品はエリザベス・ミルバンクとメルバーン卿ペニストンの結婚を記念するために描かれた集団肖像画だった。
作者:ジョージ・スタッブス(1724-1806年)
18世紀イギリスの画家ジョージ・スタッブス(George Stubbs, 1724-1806年)が1769年に制作した油彩画作品。スタッブスは、17世紀オランダの風景画家・ワウウェルマンと同じく馬の描写を得意とした。
表現:風景+肖像+静物モチーフ
画面上半分には、空と樹木を描く風景表現が確認される。
緑の葉をつけた木の幹が左下から右上へと伸びる。 その右側には灰色と白色の雲が湧き、上隅に青空がのぞいている。 |
これに対し画面下半分には、女性一名と男性3名からなる4人の人間と、そのそばに描かれた3匹の馬、そして画面両下隅に描かれた2匹の犬たちによって構成される、集団肖像画が展開している。
画面中段右端には四角い灰色の岩山が そそり立つ様子が描かれている。 |
馬の首に手を置くエリザベス兄、ジョン・ミルバンク。 足を交差させながら画面中央に立ち、鑑賞者に視線を送る。 ジョン・ミルバンクの周囲には三匹の馬。 馬の顔は斜め、正面、横顔でとらえられている。 「どんな角度からでも馬の顔を描ける」 という画家の自負が感じられる表現。 |
馬だけではなく動物モチーフとしては犬も描かれる。 様々な種類の哺乳類を描き分けることができる、 動物画家としてのスタッブスの業前を示すモチーフ。 |
犬だけでも2種類描かれている。 画面左下隅には闇の中に黒い犬。 |
茶色の馬の腹の下には緑の葉と花。 植物モチーフと動物モチーフを並べて対比的に表現。 静物表現にも通じたスタッブスの技量を示す部分。 |
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— 美術史チャンネルⅡ:古代エジプト美術特集 (@bi_shi_chan_II) November 7, 2020
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