【作品解説動画】フェルメール《牛乳を注ぐ女性》(1660年頃、アムステルダム国立美術館)―女性人物像の衣装から籠の目、金属容器の輝き、白壁の釘穴、割れた窓ガラス、パンを載せた机の表現まで

作品解説動画
フェルメール《牛乳を注ぐ女性》1660年頃

 美術史チャンネル制作のオリジナル動画のご紹介です。今回は17世紀オランダの画家・ヨハネス・フェルメールが1660年頃に描いた風俗画の作品、《牛乳を注ぐ女性》(アムステルダム国立美術館所蔵)を取り上げました。本作は2007年に東京の国立新美術館、2018年-2019年には上野の森美術館で展示され、日本でもよく知られるようになった作品です。 

特徴的表現

ほの暗い室内がこの作品の舞台です。台所の窓辺で自分の仕事に勤しむ女性が、この絵の主人公です。17世紀オランダ絵画、特にヘラルト・テル・ボルフ、レンブラントの弟子のヘリット・ダウや、その弟子のフランス・ファン・ミーリスの絵に登場するような、男性と遊ぶ高級な衣装で着飾った女性達とは対照的な勤務中のまじめな召使の姿が構図中には示されています。

この女性は前方から捉えられて、画面内に大きく表されています。名もなき一回の召使の女性ですが、この絵では立派に主役を勤め、堂々と「モニュメンタル」ともいえる立ち姿で、構図の中央付近を占めています。

壺🏺から浅い容器へと注がれる牛乳🥛

この女性は、我々鑑賞者を意識することなく、牛乳を瓶から鉢に移しています。この女性と、テーブルの上に並べられた静物モチーフに加え、壁のディティールの表現が特に印象的な絵です。

動画の内容

動画では、このフェルメールの代表作の画面を、隅々まで観察しながら解説します。日本でもっとも有名なこの17世紀オランダの画家が描くタイルの絵付けの模様から人物の顔に確認される小さくて明るい光の粒まで、詳しく見ながら説明を加えていきます。

画面右下、壁の下辺を覆う、
青い絵付けの四角い陶器製白タイル。
描かれているのは弓を手にした愛の神キューピッドの模様。

寒い冬の日に、人々の足元を暖めた足温器。
内部に入れた陶製容器に熾(おこ)した炭火を入れます。
上板に開けた九つの穴から熱が出てくるので、上に足を置いて暖を取ります。


動画内使用素材

今回の動画で使用した、17世紀に描かれた絵画の諸作例については、制作した画家の死後200年以上が経過しており、著作権は消滅しております。また立体作品を写した場合と事情が異なり、絵画に代表されるような平面の造形作品を写真撮影し平面の画像を作成した場合には、その写真に対して創作性が確認されないません。そのため、平面写真画像には著作物性は認められず、本動画で使用した画像についても著作権の問題は存在しないと判断されます。

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