【中世のジュエリー】ビザンツ帝国の真珠と宝石のついた腕飾り(500-700年、コンスタンティノープル(?)、メトロポリタン美術館)


《宝石のついた腕飾り》

500-700年、メトロポリタン美術館

4個セットの内の2点

《宝石のついた腕飾り》500-700年、コンスタンティノープル(?)、金、銀、真珠、
アメジスト、サファイア、オパール、ガラス、石英、3.7 x 8.2 cm、メトロポリタン美術館

  • この腕飾りは、東ローマ帝国の首都コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)で制作されたと考えられています。
  • 精巧に装飾されたこのブレスレットは、4個セットのうちの2点になります。
  • 2x2のセットで用意されていたのは、ふたりペアで2個ずつ着用することが想定されていたのでしょうか。

宝物としての重要性

《コインとメダルを模した装飾がついた胸飾り》
539-50年、金、ニエロ、23.9 x 21.9 x 1.6 cm
メトロポリタン美術館

  • 腕飾りは、同じくメトロポリタン美術館が所蔵する、コインとメダルを模した装飾部分が付属する胸飾り👆と共に収蔵されていました。
  • この胸飾りのコインとメダル様部分には東ローマ皇帝の肖像が刻まれています。このことから将軍や宮廷人の戦勝記念品だったと考えられています。
  • 宝石で飾られた腕輪も、同様に重要性の高い宝物として所有されていたのでしょう。

金の板のバンド


  • 複数の金の板が、蝶番でつなげられ、バンドを形成しています。

青い石と真珠の組み合わせ



  • バンドに取り付けられた金の円盤形パーツの上では、透き通った暗い青色のサファイアが、飛び出た金の枝に支えられています。
  • サファイアはさらに2点一組の「爪」により四方向から固定されています。
  • 青い石の周りには、金線を通して繋げた銀色の真珠10個がとりまいています。

透かし彫り技法


  • 円盤型のパーツの内側では、3世紀から金工分野で使用された透かし彫りの技法により、金の板が装飾されています。
  • フレームのすぐ内側には波の連続模様、中央部分には葉がついた蔓(つる)がうねる植物文様が密に表されています。


真珠の列

 
  • 青い石の周りは真珠が取り巻いていましたが、同じく腕輪のバンド部分にも、連なる真珠が上下に2本の列を作って間に石をはさんでいます。

多様な石の使用


  • 真珠の列が上下を走るバンド部分を彩る石としては、アメジスト、オパール、石英が用いられ、ガラスも使用されています。

抜け落ちた石の跡・残った真珠


  • 石のいくつかは抜け落ちて失われ、石が収まっていた箱の形の四角いフレームだけが残されています。
  • この失われた部分は、腕飾りが長い年月を経て伝えられてきたことを物語る箇所です。
  • 一方で真珠は穴に金線を通してしっかり繋げられているために、今に至るまで失われずに残っています。
  • この輝く真珠を、東ローマ帝国では、ジュエリーのパーツとして高く評価していました。

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