【中世のジュエリー】セルジューク朝トルコの電気石(トルマリン)を嵌めた指輪(12世紀、メトロポリタン美術館)

小さな指輪

  • 12世紀のイランのものとされる、金のリングに紫色の宝石を嵌めた指輪です。
  • 高さは2.4 cm、幅が.19 cm 、直径は1.3 cmと小型で、重さも5.7 gと軽量です。



  • この指輪のセットされている石は透明で、紫色を呈しています。
  • 石座にはめられている宝石は熱すると電気を帯びる電気石(トルマリン)です。
  • この指輪の電気石は、楕円球形を半分に切った、カボションと呼ばれるかたちをとっています。
  • 電気石はリングに溶接された四つの金の突起=「爪」にとらえられ、枠の中に固定されています。

トルマリン(電気石)

装飾その1:綱状装飾


  • 宝石のはまったやや幅広の帯状フレーム部分の下には、二種類の装飾が交互に続きます。
  • この部分では、まず、をところどころ、菱形あるいは先の尖った変形楕円のかたちに落ちくぼませた箇所が確認されます。
  • この加工により、比較的粗い網の目がかたどられ、装飾部分を形成しています。

装飾その2:渦巻き模様


  • もうひとつの装飾は、溝を刻み天然アスファルトである瀝青を充填した部分です。
  • 黒色の地に金色で渦巻き文様を表した部分です。

身に着けたのは…?

セルジューク朝版図(1092年)
Seljuk Empire locator map” created by MapMaster licenced under CC BY-SA 4.0

  • この指輪にみられるようなデザインは、テュルク系遊牧集団により興った国・セルジューク朝トルコ(11-12世紀)で人気のあったものです。
  • セルジューク朝では、このタイプの指輪は男性たちによって身に着けられました。
  • また時に愛の証として、男性やその代理人が女性へのプレゼントとして贈ることもあったようです。

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