【中世のジュエリー】ビザンツ帝国の金製十字架ペンダント(1100年頃、コンスタンティノープル、メトロポリタン美術館)


《十字架》1100年頃
メトロポリタン美術館


小型のペンダント・タイプ

  • 縦2.36cm、幅2.07cm、厚さは僅か3.1mmという、非常に小型の十字架です。
  • 東ローマ帝国の首都・コンスタンティノープルで制作されたと考えられています。

枝の装飾その1:葉模様


  • この作品の支持体は、一枚の金の薄い板です。
  • その上に、赤や青の多色のエマイユ(エナメル)で 四つ葉の花模様が描かれています。

枝の装飾その2:円形パーツ


  • 金の十字架のそれぞれの枝の先には中央に大きな円形、その左右に小さな円形の装飾パーツが付属しています。

枝の装飾その3:U字形パーツ


  • 上に伸びる枝の上にはアルファベットのUの字のかたちをとるパーツが付き、十字架の一番上の個所を飾っています。


裏面の装飾

裏面全体図

  • エマイユによる装飾は表と裏の両面に確認されます。
  • 同じ技法・色彩・モチーフで、同程度の入念さで装飾が施されています。

エマイユ(エナメル)の技法


  • エマイユ(エナメル)はガラス質の絵の具で、金属酸化物などを混ぜて色を付け、かまどの中で熱により溶かすことで金属の支持体に焼き付けます。
  • このエマイユ(エナメル)は互いに溶融して強固な画面を形成し、退色しないため長い時間を経ても輝きを失わないというメリットがあります。

「エマイユ・クロワゾネ」


  • この作品では、金でフレームが作られ、その内側にエマイユが施されています。
  • このテクニックはフランス語で「エマイユ・クロワゾネ」と呼ばれる技法です。
  • これは日本語で言うところの「有線七宝」の技法です。

使い方:宗教的アクセサリー

裏面中央部分と周辺

  • この小さな十字架は、鎖などを通すことで首からつるすことができるペンダント・タイプに分類されます。
  • 敬虔なビザンツ帝国のキリスト教徒は、このような宗教的アクセサリーを日常的に身に着けていたのでしょう。
  • ただし東ローマ帝国の金工職人が技巧を尽くして制作したこの十字架を身に着けることができたのは、帝国の民でも上流階級の人間に限られたと考えられます。

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