【「ゴッホ展」出品作を徹底解説!②】ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》1890年、クレラー=ミュラー美術館:前年にえがかれた《星月夜》の夜景表現からさらなる発展を遂げた、ゴッホ晩年の夜景画の到達点!(「ゴッホ展」@東京都美術館)

ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》

南フランス時代の夜の風景画

東京都美術館「ゴッホ展 響きあう魂」展示作品の解説動画、
ふたつめの今回は、《夜のプロヴァンスの田舎道》をとりあげました。


ゴッホの代名詞ともいえる糸杉が画面の中央に大きく描かれています。傑作《星月夜》からさらなる進化を遂げた、ゴッホ晩年の夜景表現が確認できる重要な本作の解説動画、ぜひご覧ください。

🌲 🌲 🌲

糸杉の左右には星と月が輝いています。糸杉はそれぞれの天体が占める部分を分ける、境界線の役割を果たすために、地面から名が細く、垂直方向へと伸びています。

🌲 🌲 🌲

糸杉の左には星が白い光を、放射状に、また、中心の黄色い部分から、同心円状に放っています。

🌲 🌲 🌲

糸杉の右上に輝く月は、星と比べると控えめな光を、同じく放射状に、
また、同心円状に広げています。
月は黄色と橙色の二色を用いて塗り分けられています。

🌲 🌲 🌲

この《夜のプロヴァンスの田舎道》の前年にあたる1889年に、ゴッホは早くも糸杉が重要なモチーフとして画面の中に登場する絵を描いています。

🌲 🌲 🌲

糸杉の絵・その①:ゴッホ《星月夜》MoMa

ニューヨーク近代美術館が所蔵する、1889年の夜景《星月夜》でも月と星は描かれていました。しかし《星月夜の画面は、やや横長のフォーマットをとり、より多くの星が瞬き、また糸杉は逆光の中に暗く描かれ、右下隅には家々の姿も描かれています。

フィンセント・ファン・ゴッホ《星月夜》
1889年、ニューヨーク近代美術館

🌲 🌲 🌲

糸杉のすぐ右の隣にまたたく星の、黄色の光を発する中心部分の拡大図です。
濃い黄色の絵の具がうずたかく盛り上げられ、白い絵の具と混ざって明るいレモン色の光を放っています。その周囲には、さらに、明るい緑色の部分が確認されます。この緑色は、背景の地の青色と黄色が混ざって作られた部分でしょうか。

🌲 🌲 🌲

糸杉の絵・その②:ゴッホ《糸杉》メトロポリタン美術館

メトロポリタン美術館の《糸杉》👇は、《夜のプロヴァンスの田舎道》の前年に描かれました。こちらの絵は横長のフォーマットの画面で、右端の中段から上へとむけて糸杉の暗い緑色の木が、全体に広く雲が湧く、青い昼の空へと伸びています。右上に高くそびえる木から、左下の地面へと、斜めの線が示され、もくもくと湧出するダイナミックな雲をかたどる、カーヴを描く輪郭線と共に、画面には動きが伴われています。

フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》
1889年 メトロポリタン美術館

👆この作品に関して、ゴッホは言葉を残しています👇
1889年7月2日付
弟テオ宛の手紙より
「糸杉と少しばかりの小麦、ケシの花、青い空があり、
多彩なスコットランドの格子縞のようで、
アドルフ・モンティセリの絵のように絵具を厚塗りした」

🌲 🌲 🌲

このように関連作が豊富な、ゴッホの代名詞ともいえる糸杉が大きく天を突く、
こちらは上の二点とは異なり、縦長フォーマットの作品の解説動画。
ぜひご覧ください。👇


🌻 🌻 🌻

🎨「ゴッホ展」出品作を解説した「美術史チャンネル」動画の再生リストはこちらです。
併せてご覧ください。👉「ゴッホ展」再生リスト🌞

🌻 🌻 🌻

コメント