「ポンペイ」展🏺出品作を動画🎦で解説!②:古代のフレスコ画―女神たちの絵からヴェスヴィオ山のある宗教画、トロイア戦争に取材する物語画まで

🐱「ポンペイ」展のフレスコ画🐶


 東京国立博物館・平成館で開催中のポンペイ展の出品作の解説動画
★ この投稿では、漆喰の上に描いて制作する、フレスコ画の技法で描かれた絵画作品を、制作された年代の順に取り上げます。

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①《三美神》

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古代ローマの美の女神たち

★ 今回は《三美神》(紀元前15年-後50年 ナポリ国立考古学博物館)です。
 ローマ神話最高神の娘、美の女神たちの立ち姿です。👇

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西洋美術史を代表するモチーフ

 表されているのは、「輝き」・「喜び」・「繁栄」の三神。
 体は正面向きと、後ろ向き。頭部は正面向きと、左右を向いた横顔。
 ラファエロや、ルーベンスなど、後世に巨匠たちも描いた、人気のモチーフです。

②《書字板と尖筆を持つ女性》

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古代の婦人を描いた肖像画

 続いては、ナポリ国立考古学博物館所蔵、《書字板と尖筆を持つ女性》(紀元後50年-79年)を取り上げます
 目鼻やアクセサリーなど、各部分を拡大しながら1分で解説しています。👇

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★ 尖筆と書字板が知的な雰囲気を醸す肖像画。
★ 加えて、金のアクセサリーが、女性のおしゃれを引き立てています。
 目鼻立ちに特徴がないことから、理想化を交えて描かれたと考えられます。
★ もしかしたら、あまり似ていなかったかもしれません。
★ それでも、美化された肖像は、モデルたちにきっと気に入られたことでしょう。

③古代壁画《ウェヌス》

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古代世界で人気の美と愛の女神

★ ここでは、古代ローマ神話を代表する、美と愛を司る女神の絵を取り上げました。
★ エルコラーノの邸宅の、半ドームのかたちをとる上部を戴く部分(エクセドラ)で発見されました。 
★ 今回のテーマは、紀元後50-79年に制作された《ウェヌス》(ナポリ国立考古学博物館)です👇

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質感描写が特徴の、ギリシャ彫刻を描く絵画

 本作の見どころは、下半身にまとった厚手の赤マントと、上半身に着けた薄物の、対照的な質感を的確に再現描写した点。
★ この絵、実は古代ギリシャのアテネの彫刻家・アルカメネスが制作した、庭園のアフロディーテを壁画に描いたもの
 古代ギリシャ世界の美術作品を評価していた、エルコラーノの人々の古典主義的趣味を感じさせる作品です。

④古代の壁画:《パン屋の店先》

ポンペイの都市風俗画

★ 今回は紀元後50-79年に描かれた、フレスコ画を取り上げました。
★ 今回のテーマは、《パン屋の店先》(ナポリ国立考古学博物館)です。

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都市のごはん時のシーン

★ 描かれているのは、古代の町に暮らす人々の、冬の食事時の生活の様子です。
★ 古代のローマ世界では、人々は昼と夕方の二食が基本だったので、この作品に描かれているのも、昼ご飯前か、晩御飯前か、どちらかの時間帯なのでしょう。
★ のちの絵画ジャンルでいえば、風俗画に分類される本作。
★ 身振りの表情も豊かに描写した、都市民の暮らしが生き生きと表されています。

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⑤《フォルムの日常風景》

古代の風俗画的絵画作品

★ 今回は《フォルムの日常風景》(62-79年 ナポリ国立考古学博物館)です。
 人物や商品など、描かれた各部分を拡大しつつ1分で解説します👇

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商人と顧客たちの活写

 漆喰の上に描く、フレスコの技法を使って制作された壁画。
 画面には、様々な商人が営業する姿を生き生きと描いています。
 ポンペイの町を賑わせていた、活発な経済活動の様子をしのばせる絵です。

⑥《イシス神官とハルポクラテス》

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古代の神殿を飾った装飾画

★ お次は、ポンペイの町にあった、イシス神の神殿を飾っていた、古代のフレスコ画(漆喰の上に描いた絵)を取り上げました。
 今回のテーマは、紀元後62-79年に制作された《イシス神官とハルポクラテス》(ナポリ国立考古学博物館)です👇

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南イタリアにおけるエジプトの神々

 本作には、人間や、動物の姿をした複数のモチーフが登場しています。
★ この壁画に描かれているのは、神に仕える神官たちと、古代エジプトで信仰され、ギリシャ世界にももたらされた複数のエジプトの神々🐱
 いにしえのエジプト神話をにぎわした神々が、古代のローマ世界でも、変わらず人気を博していた状況を証明する宗教壁画です。 👇

⑦《バックスとヴェスヴィオ山》

ポンペイ滅亡の原因となった山の見える絵

★ この動画では、紀元後1世紀に描かれた、噴火前のヴェスヴィオ山が表された、貴重な宗教主題の壁画を取り上げました。
★ 今回のテーマは、62-79年に制作された、《バックス(ディオニュソス)とヴェスヴィオ山》(ナポリ国立考古学博物館)です。

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酒と酒造りに関わるモチーフ群

★ 絵の真ん中に描かれている火山が重要なモチーフであることは明らかですが、その山腹やふもとの人物も無視できません。
★ 山肌にはワインの原料を生産する葡萄畑が広がり、山の下にいるのは、そのワインの神様である、酒神・バックス。
★ 画面右下に描かれている祭壇に向かう蛇も、ブドウ畑の守り神であり、イタリア農業におけるワイン造りの重要性をよく感じさせる画面の内容となっています。

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⑧《イフィゲネイアの犠牲》

イーリアスの世界の絵画化

★ この動画では、紀元後50-79年に描かれた、トロイア戦争の伝説に取材した平面造形作品を取り上げました。
★ 今回のテーマは、ギリシャ方の総大将アガメムノンの長女・《イフィゲネイアの犠牲》(ナポリ国立考古学博物館)です。

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古代ギリシャ絵画との関係

★ イフィゲネイアがアルテミス神へのいけにえにささげられる場面。憐れんだ女神が、代わりの鹿を用意させる様子も空に描かれています。
★ この主題は、古代ギリシャにおいて画家ティマンテスが描いたことで知られていたシーンでした。
★ 特にティマンテスの絵では、悲しむアガメムノンの顔がをあえて隠されていたことが知られていましたが、同様の表現がみられる本作は、おそらくこの古代ギリシャの絵の描き方を参考にしていると思われます。
★ 本作は、1世紀の南イタリアにおける、古代ギリシャ絵画に対し下された高い評価をうかがい知ることができるような作品となっています。

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