「ポンペイ」展🏺出品作を動画🎦で解説!①:古代のモザイク画―魚のある静物画から劇の役者たちの絵まで

🐱「ポンペイ」展のモザイク画🐶


 東京国立博物館・平成館で開催中の「ポンペイ」🏺展(👉公式サイト)の出品作のYoutube解説動画
★ この投稿では、平面作品のうち、小さな石やガラスなどのピースを並べて描く絵画技法・モザイクによる絵を解説した動画を、制作された年代の順にご紹介します。

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①イセエビ🦐をとらえたタコ🐙の絵

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自然主義的表現が特徴のモザイク静物画

 最初は、モザイクで作った静物画を取り上げました。
 今回の動画のテーマは、紀元前2世紀末に制作された、《イセエビ🦐とタコ🐙の戦い》(ナポリ国立考古学博物館)です👇

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地中海の豊かな海産物を描いた理由

     描かれているのは、二枚貝から、大小のエビ🦐から、鯛の仲間🎣、タコ🐙まで、多種多様な海産物です。
    ★ これらの魚介モチーフは、博物学的な内容の本の挿絵に由来するともいわれます。
     あるいは、海の幸を食べて楽しんだ、古代地中海世界の市民たちの、美食への欲望が反映された絵なのかもしれません🐡

②《ネコとカモ》

古代の食材の絵🐡

🐦床を飾ったモザイクの絵
★ 続いては、《ネコとカモ》(紀元前1世紀ナポリ国立考古学博物館)です。
★ ポンペイの邸宅の、左右に張り出した翼室の床を飾っていた、動物と静物モチーフを描いたモザイク画です。👇

🐚食べ物置き場の棚

🐈食材と忍び込んだ猫 二段に設けられた棚の中にいっぱいに詰まった鳥や魚、貝といった食べ物。飲み会の席で出される、お食事の材料であったと考えられます。
★ そこに忍び込んだ、縞々毛皮の一匹の猫。さっそく鶏🐓を捕まえて背中を押さえつけています。
★ モザイクは絵具と違って、高い耐久性を誇ります。そのため、猫の毛皮や、鳥の羽の模様も、21世紀の現在に至るまで、鮮やかな色彩をそのままにとどめています。

③《テーブル天板「メメント・モリ」》

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道徳的内容を持った静物画

★ 今回は《テーブル天板、通称「メメント・モリ」》(紀元前1世紀 ナポリ考古学博物館)です。
 死を思わせる「メメント・モリ」の髑髏💀や、貧富💰それぞれを象徴するモチーフマなど、描かれた各部分を拡大しつつ1分で解説します👇

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未来の死と現在の楽しみ

 富める者💰貧しきもの、両者の着物👔・持ち物👜が描かれた画面。
 しかし、富者にも、貧者にも、「死」💀は等しく訪れます。
 「死」💀の訪れは万人共通であることを思い起こさせる絵は、そうであるからこそ、「生」のある現在を楽しもう🥳と考えた、古代人の発想を示唆しているようです。

④《猛犬注意》

古代の邸宅の「床画」

★ ポンペイの町に建っていた邸宅において、玄関の床に敷かれていたモザイク画。
 こちらの動画のテーマは、1世紀に制作された絵画作品《猛犬注意》(ナポリ国立考古学博物館)です。

訪問客へのメッセージ

★ これは、ポンペイの邸宅の玄関にて、この家には番犬がいるということについて、やってきたお客様に注意を促す犬の絵。
 左上から右下へ、しっぽから頭へ通じる対角線が際立つ構図が特徴です。画面に動きをもたらす対角線構図の使用は、頭を下げて身構える犬の姿をわかりやすく表現することを可能にしています。
 モザイク画ゆえに色は失われず、いまも黒い犬の姿を鮮明に浮かび上がらせ、その存在感を強調しています。

《猛犬注意》の画面左上部分を拡大した図。
黒い犬の、カーヴを描くしっぽが見えています。
モザイク制作にあたっては、四角いピースが用いられています。
このような技法を、「オプス・テッセラトゥム」と称します。

⑤《劇の準備》

こちらもまた「床画」

 ポンペイの家の、床を飾っていたモザイク画。
 こちらの動画のテーマは、1世紀に制作された絵画作品《劇の準備》(ナポリ国立考古学博物館)です。

古代ギリシャ演劇への興味

 劇場に付属する列柱廊に居並ぶ人々は、古代ギリシャの滑稽な内容の劇=「サチュロス劇」の準備に励む役者たちと楽人。
 仮面と毛の衣装を着けて、ダンスのステップを試したり、楽器の演奏の最中。準備に抜かりはないようです。 
 古代のポンペイでは、ラテン語劇だけでなく、ギリシャ語演劇も催されていたことが最近知られました(👉ロイター)。
 本作は、当時のポンペイ市民の、そんなギリシャ演劇への興味も反映されているかのような作品となっています。

⑥《ナイル川風景》

またも「床画」

 ポンペイの「ファウヌスの家」の、床を飾っていたモザイク画。
 こちらの動画のテーマは、紀元前1世紀に制作された、《ナイル川風景》(ナポリ国立考古学博物館)です。


アレクサンドロス大王のエジプト遠征との関係

 ナイル川の景観を描き、岸辺や、川の中の動物や植物を豊かに表したモザイク作品。
 アレクサンドロス大王とダレイオス三世が、イッソスの戦いで干戈を交える様子を描く、いわゆる「アレクサンダー・モザイク」の手前に設置されていました。 
 このような位置に置かれた、エジプトの川の様子を描いたこの絵は、見る者たちに、アレクサンドロス大王が行った、エジプト遠征を思い出させたかもしれません

⑦《辻音楽師》

家を訪れる楽師たち

 ポンペイの「キケロの家」の、床を飾っていたモザイク画。
 こちらの動画のテーマは、紀元前1世紀に制作された、《辻音楽師》(ナポリ国立考古学博物館)です。


流行の「新喜劇」の絵画化?

 ヘレニズム期に主流となっていた演劇ジャンル「アッティカ新喜劇」のシーンを表しているとされる作品。
 演劇が盛んだった、カンパニア地方ならではのモザイク画です

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