挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」の解説動画を作成しました!埴輪の最高傑作と称される《挂甲の武人》が国宝に指定されてから50年が経過したことを記念して開催されたこの展覧会。およそ120点の名作埴輪が日本国内、そしてアメリカからも集められて一堂に会すこの特別展の概要について、動画🎬で解説します👆
《挂甲の武人》はひもなどでつづり合わせた鉄の板を身に着けた古代の戦士を象った埴輪です。右手は大刀の柄に手を掛けて、左手には弓を携え、フル装備の姿で、丸い筒の形の台の上に立って、背筋をピンと立てて、顔は正面を見据えています。古墳の上で、葬られた人を守るために、警護の職務に余念のない、まじめな古代の戦士の姿が良く描写されています。
🌟群馬県南部に位置する太田市の、飯塚町で出土した本作は、現在は東京国立博物館が所蔵しています。高さは130.5㎝なので、モデルとなった当時の武人よりは小さめに作られていると考えられます。
頭部
兜には、頬あてのパーツのディティールや、打った鋲(リベット)の部分も細かくしっかり表現されています。一方で、突き出た鼻の上下に見える、目と、鼻は、細長く水平方向に伸びた穴をうがって、簡単に表されているだけです。再現的描写を特徴とする武装の箇所と、パターン化して表された顔のパーツの表現のコントラストが際立ちます。
胴体部分(前面)
武人の埴輪は体にはしっかりと鎧を着こんでいます。この鎧が本作のタイトルにある「挂甲」になります。このタイプの鎧は、「短冊状」と形容される、縦に長い長方形の鉄製の板(=「小札」)を革紐などで綴り合せて構成されています。それぞれの板は、刻み込んだ細く伸びる線で、四角く区画されています。また前の部分を合わせるために結んだ紐が、上と下に、立体的に表されています。🌟当時の鎧の作りを良く伝えるこの胴体部分の造形は、頭に着ける兜と共に、当時の武人にとって甲冑を所有し、身に着けられることが、いかに重要なことであったかを物語るようです。
🌟また、金属をメインの素材に用いて作った鎧兜で装うことは、十分な経済力を有した特権階級に属する人間のみに可能なことであったと想像されます。そのような上級の武人が守る古墳は、特に重要な墳墓であると人々に思わせることが可能だったのではないでしょうか。
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