【作品解説】伝統的風景画風の実景描写:コンスタブル《デダム・ヴェイル》1802年 投稿者 美術史チャンネル 日付: 12月 27, 2020 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ コンスタブル《デダム・ヴェイル》1802年(画面中段部分図)【作品解説】ジョン・コンスタブル《デダム・ヴェイル》1802年伝統的風景画風の実景描写ジョン・コンスタブル《デダム・ヴェイル》1802年、キャンヴァスに油彩、43.5 x 34.4 cm、ロンドン、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館● 実景をもとにした習作19世紀前半のイギリスを代表する風景画家コンスタブルが、 1802年に小型のキャンヴァス(43.5 x 34.4 cm)に描いた油彩習作です。デダム・ヴェイルの土地で見ることができた実際の風景をもとに、しかし伝統的風景画の構図に基づきつつ描かれています。● 白い雲と枝の葉を表すタッチ画面上方では青空に浮かぶ白い雲を厚塗りで表しています。それに対し、背の高い木の枝に茂る葉は、分割されたタッチで描かれています。遠景に描かれたモチーフ● 遠景モチーフ①:渓谷遠景には、両川岸に木が並び立つ小さな渓谷が描いています。● 遠景モチーフ②:教会の塔画面奥にはそびえたつ教会の塔が見えます。● 遠景モチーフ③:川と牧草地曲がりくねる川のほとりには、牛がいる牧草地が認められます。● 遠景モチーフ④:湖と船遠くは帆を張る一艘の船が浮かぶ湖が見える。。モデルとなった作品● 遠景モチーフ④:湖と船この習作を描くに際して、コンスタブルは、普段はあまり用いない、モデルとなる作品をもとに風景を描くという方法を用いました。それは1646年に制作された《ハガルと天使》であり、ここでモデルになっているのは、フランスの画家・クロード・ロランの作品です。クロード・ロラン《ハガルと天使》1646年ロンドン・ナショナル・ギャラリー聖書の登場人物モチーフ● ハガルと天使ロランのこの絵には、旧約聖書主題のシーンを描き、ハガルと天使という宗教的人物像2名が登場します。植物モチーフ● 宗教人物像の省略ただしロランの絵をモデルに描いたコンスタブルの習作では、画面左下の宗教的人物像は省略されています。そこには緑の茂みだけが描かれています。● クロード・ロランに対する評価ただしコンスタブルはクロード・ロランを高く評価し、「この世界が知ることがなかった最も完璧な画家」(the most perfect landscape painter the world ever saw)と絶賛しています。このロランに対する評価はターナーのものとほぼ同質で、19世紀イギリスは風景画家の共通認識であるといえます。 コメント
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