器の胴体部分の形は変化に富んでいますが、口はシンプルな円形を描いています。
南宋の首都=現在の杭州の宮廷御用品を焼く官窯製青磁花入です。
円筒形に直方体を組み合わせた形状が特徴です。
方形が大地を、穴の円形が天を表しているともいわれます。
占いで使う算木に似るため「算木手」と日本で呼ばれた器種です。
玉器「琮」との造形的関係性
この形状は中国古代の玉器「琮」に倣っています。
南宋官窯は古代玉器形を模した青磁を量産しました。
《琮》良渚文化(長江文明、紀元前3500年-前2200年頃) |
《琮》中国、新石器時代 |
"Neolithic jade cong" by Gary Lee Todd, Ph.D. is marked with CC0 1.0 |
《十節玉琮》 成都、金沙遺址博物館 写真:Wikimediaより 長大・硬質の玉を加工。 上下から円孔を穿(うが)っています。 東京国立博物館の《青磁花入》より丈が高くなっています。 玉器「琮」 中国新石器時代後期-殷・周期に製造された玉器です。 方柱形、長軸方向に円形孔を穿つ形をしています。 狭長・寸胴等形状はさまざまです。また表面に線画・抽象画を施します。 起源は腕輪とされています。供犠や葬儀の祭祀や儀礼に使用されたと考えられます。 |
黒が強い灰色土に濃色釉薬を厚くかけています。 やきもの本体の粘土と釉は収縮率が異なります。 そのため貫入のひび割れが一面に生じています。 モデルとした玉器には認められない、磁器ならではの造形的特徴です。 |
江戸時代初めから昭和の初めまで尾張徳川家に伝わった名品です。
花入れ或いは水指として使用されました。
尾張家台帳には水指として使用されたとする記録が残っています。
「中国の陶磁器」関連投稿集:唐代から宋代までの青磁と白磁
「中国の陶磁器」関連の投稿集です。唐代の白磁から、宋代の青磁まで、様々な釉(うわぐすり)の発色と器の形を見せる作品をご紹介しています。
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