【17世紀オランダ風俗画】暴れる農民の男女:ファン・オスターデ 《喧嘩》1637年、エルミタージュ美術館 投稿者 美術史チャンネル 日付: 5月 29, 2021 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ アドリアーン・ファン・オスターデ《喧嘩》1637年、板に油彩、25 x 34 cm、エルミタージュ美術館この投稿では17世紀オランダの風俗画家アドリアーン・ファン・オスターデが1637年に制作した《喧嘩》について解説します。室内の刃傷沙汰 ● 農民の大喧嘩描かれているのは、農家の暗い室内の様子です。そこで複数の男女による暴力沙汰が繰り広げられています。 壺vsナイフ二刀流● タイトル付き枠黄色の服の男は壺を振り上げています。これに立ち向かう青い服の男は、ナイフ二刀流で応戦しています。止める女、暴れる女● 対照的な二女性のふるまいピンクの服の女は抱きついてナイフ二刀流の男を止めています。これに対し別の女は棒を振り上げて喧嘩に加勢しています。「お手上げ」の男● もう、どうしようもない収拾のつかない暴力行為が連鎖しています。これには奥の男も文字通り「お手上げ」です。反「ミレー的」表現【部分】ミレー《晩鐘》1857-59年、オルセー美術館● 身だしなみなど気にしない同じ農民でも19世紀のミレーの静かに祈る人々とは大違いの登場人物達です。オスターデ《喧嘩》の農民は髪はボサボサで目まで覆っています。農民の非「理想化」表現● 「古典美」の対極にある造形大口を開けた男女の顔の造形は曖昧で、奥の男性は5頭身程度です。古典的美の理想から離れた身体表現であるといえるでしょう。醜さと狂暴性● ナイフと農民一方で青い服の男性が手にするナイフの形状は明確です。この絵に認められるのは、当時の都市民が農民に対して抱いていたであろう「醜く凶暴」というイメージが反映される表現です。関連投稿【作品解説動画】ヨハネス・フェルメール《ヴァージナルの前に座る女性》1670-72年頃、ロンドン・ナショナル・ギャラリー同じ17世紀オランダ風俗画でも、オスターデが描く醜く凶暴な農民とは一線を画すお上品な、中流階級以上の都市民が登場するフェルメールの作品についての解説です。 コメント
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