【ルネサンス期の武器】《ファルシオン》ヴェネツィア、1490年頃、メトロポリタン美術館

《ファルシオン》
ヴェネツィア、1490年頃、
鋼鉄、金、布地、
91.4 cm、981 g、
メトロポリタン美術館

この投稿ではメトロポリタン美術館が所蔵する、1490年にヴェネツィアで作られた剣《ファルシオン》についてご紹介します。

中世の曲刀

 強力な斬撃用兵器
  • ファルシオンは、1200 年頃からヨーロッパで使用された曲刀の一種です。
  • 本作例は、15 世紀後半から伝わる数少ない剣の 一例です。
  • 戦闘時には重量を生かして、頭上に振りかぶって相手の鎧の上から叩き斬りました。

 曲線を描く鍔
  • 鍔は刃の方へ向けてアルファベットのSの字を象りつつ湾曲しています。
  • 柄の方へ降りる鍔はSの字を描いています。
  • いずれの個所でも丸くなって終わる先端部分が確認されます。

短い柄

 直線的な柄の造形
  • 曲線を描く鍔に対し柄はまっすぐです。
  • 柄の先には曲線を描きつつ放射状に飛び出た突起装飾付きの丸い柄頭が付属しています。
  • 柄は拳ひとつを少し余るほどの長さしかありません。
  • これは本作礼が片手でふるうための剣であったことをわかりやすく示しています。

刃と柄の装飾

 ヴェネツィア・スペイン風の造形要素
  • 細長い刃と柄には装飾が施されています。
  • 中東美術の影響を受けたヴェネチアとスペインの造形作品の特徴です。

命名と使用者

 「鎌」風剣を用いる平民
  • 湾曲した刃が「鎌」を思わせるためか、語源はラテン語で「鎌」を意味するファルクスです。
  • ファルシオンはお金を掛けずに製造でき、耐久性が高く、操作が簡単だったため、平民階級に好んで用いられました。

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