【画家と作品】ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ:17世紀オランダの宴席の静物の画家

ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ

17世紀オランダの宴席の静物の画家

出身地:ハールレム
  • ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ(Willem Claesz Heda)は1593年ないし1594年にオランダ北部の町ハールレムGoogle mapに生まれました。
  • ヘーダが生まれたハールレムは、17世紀オランダ派を代表する有能な画家を複数輩出しました。
  • 肖像画家フランス・ハルス(Frans Hals, 1581年/1585年頃-1666年)、風景画家フィリップス・ワウウェルマン(1619年-1668年 作品動画)がハールレム生まれで、静物画家ピーテル・クラースゾーン(Pieter Claesz, 1597年頃 - 1660年)がこの町に移り住み活躍しました。

フランス・ハルス《陽気な酒飲み》1628-30年、
キャンヴァスに油彩、81 x 66.5 cm、
アムステルダム国立美術館

ピーテル・クラースゾーン《静物》1647年、
板に油彩、40 x 61 cm、エルミタージュ美術館


ヘーダの一族
  • 父親クラース・ピーテルスゾーン・ヘーダはハールレム市の建築家、叔父コーネリス・クラース・ヘーダも画家。息子のヘリット・ウィレムスゾーンも画家となりました。
  • 近世アルプス以北で多くの例を確認することができる、デッサン芸術(絵画・彫刻・建築)を専門とする造形作家一族であるといえます。
  • 例として、他にはたとえばブリューゲル一族、その親戚筋ではテニールス、ファン・ケッセル、ワウウェルマン、それ以外ではフランス・フランケンなどの一族を数えることができます。
  • さらに16世紀のアルプス以南イタリアではラファエロ、ギルランダイオ、デッラ・ロッビア一族などを挙げることができます。

画家一族の特徴
  • 一方でヘーダと同じ17世紀北方画派を代表するルーベンスやレンブラントは芸術家一族の出身ではありません。
  • このふたりがヘーダの静物画のように特定の主題に専念することなく、多くの主題を手掛けることができたのは、この出自が関係しているかもしれません。
  • ルーベンスやレンブラントは特定ジャンルの専門家としてトレーニングを強制されなかったためでしょうか。

得意とした主題と様式

  • ウィレム・クラースゾーン・ヘーダは、テーマとしては「宴席の様子」banketje を想起させるモチーフを得意としましたNational Gallery of Art, An Eye for Art, 2013, p. 101.
  • そのような作品では、アルコール飲料およびノンアルコール飲料、果物や火を通した料理などの食品がテーブルの上に並び、その上にそびえるように背の高いガラスや金属製の酒器が居並びます。
  • また表現様式としては、「(ピーテル・クラースゾーンよりも)繊細な色価のバランス」の実現を「達成」したと評されるN. Schneider, Still Life, 2003, p. 104.、色彩の調和がとれた静物画の表現が特徴です。
  • 暗い褐色の背地の前、あるいは時に漆黒の闇の中に、彩度が抑えられた白・黒・灰色・茶色・モスグリーンのような色彩が特徴のモチーフが、前景におかれて画面中段を大きく占めます。
  • そのようなモチーフの中では《ロブスターのある静物》の真っ赤なエビは例外的モチーフであるといえ、ひときわ異彩を放ち、存在感を示しています。

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