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この投稿では、アステカ神話の神「テスカトリポカ」の頭部を
かたどった、14-16世紀頃に作られた仮面をご紹介します。
素材の使い分け
- 芯は人間の頭蓋骨です。その上に、トルコ石と褐炭の小さな欠片をモザイク状に貼っています。
- 顔を5個の部分に分け、部分ごとに褐炭とトルコ石を交互に使い分けています。
- これは縞模様で彩られていた「テスカトリポカ」神の顔を表すための表現です。
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- 三角形をかたどる鼻の内部には、赤系の色彩が目立ちます👆
- この部分には、ピンク色の貝殻を使用しています。
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- 口の中にはいくつもの歯が植えられています👆
- 歯は芯に使った頭蓋骨についていたものであると考えられます。
紐:使用方法の手掛かり
- この仮面には長くて幅が広い茶色の革ひもが2本付属しています。
- この紐を用いて、仮面を偶像に結びつけたり、神の化身として人間が装着したり、布で巻いた死者にかぶせたりしたのでしょう。
- ボナンパック遺跡リンテル1号の戦士像浮き彫りにみられるように、背中付けたのかもしれません。
スペイン人への贈り物?
- この仮面にはアステカ王👑モテクスマから、スペインのコンキスタドール(アメリカ大陸征服者)エルナン・コルテスに贈られた🎁との伝承があります。
- もしこの伝承が真実なら、人間の頭蓋骨を使った仮面を贈ることで、アステカ王はスペイン人を恐怖させようとしたのでしょうか?それともテスカトリポカ神の加護を与えようとしたのでしょうか?
- この仮面をプレゼント🎁として贈られたコルテスがどう思ったのかも気になるところです。人の骨を造形作品に使う、ヨーロッパ人には思いもよらない造形文化に触れて、やはりびっくりしたのでしょうか。
エルナン・コルテス(1485-1547年) メキシコ高原にあったアステカ帝国を征服した スペインのコンキスタドール(アメリカ大陸征服者)。 |
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👇同じくアステカ美術のマスクです。こちらの仮面ではベースに使用した素材は頭蓋骨ではなく木となっています。
《ケツァルコアトルのモザイク仮面》後古典期、アステカ文化、1325-1521年、大英博物館
木の仮面の表面をトルコ石の小さな欠片を樹脂の糊でモザイク状に覆っています。目と歯は貝殻で作られています。モザイク細工が得意なミシュテカ人を呼び寄せて作らせた可能性が想定されている仮面です。
世界的には、歴史の中で様々な「青い」造形作品が作られてきました。たとえば古代エジプトの造形作品にも、特徴的な青色●の使用が認められます。こちらは青い釉(うわぐすり)を掛けた「やきもの」(エジプト・ファイアンス)になります。
中国の磁器にも、独特の青色の発色が見られる製品が存在します。宋代の青磁がその例です。
【作品解説動画】《カバ(ウィリアム)》紀元前1961-紀元前1878年、メトロポリタン美術館
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