カーリングを描くブリューゲル一族
①ピーテル・ブリューゲル(父)の作品
- 16世紀に活躍した、北方ルネサンス の画家・ピーテル・ブリューゲル の絵に、早くもカーリングは描かれています。
- 遠景の、青緑色を呈す、凍った池の上では、足元の氷の上にストーン を置いて、カーリングを楽しむ人たちが、小さく描かれています。
- この時点では、まだ、ブラシで氷の表面をこする、「スウィーピング」は行われていないようで、参加者たちは道具の類を手にしていません。
②ピーテル・ブリューゲル(子)の作品
- 息子の方のピーテル・ ブリューゲルも、17世紀にカーリングがある風景の絵を描いています。
- 画面左下の前景には、凍った川の上でカーリングに挑む人々が表されています。
- 赤い長ズボンの男性が、ストーン を氷上に置いて狙いを定め、向こうに置かれているストーンを見据えます。
- 右に立っている、赤い帽子の男性は、向こうの方を手で指して、何かアドヴァイスをしているようです。
- 父の描いたモチーフを着実に継承し、しかし描く位置を遠景から最前景へと変更し、色彩もより鮮やかに描き、表現にはオリジナリティも確認されます。
ブリューゲルの時代の絵画の歴史についてはコチラの記事もご覧ください👉初期ネーデルラントと北方ルネサンスの絵画史
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